『行動分析学マネジメント-人と組織を変える方法論』を読んだ感想

『行動分析学マネジメント-人と組織を変える方法論』を読んだ感想

ここ最近、組織論に興味があります。

自分が所属している組織が急拡大を終えて過渡期に入っており、いわゆるミッション・ビジョン・バリューを改めて定義しなければならない状況にあって、「組織論」的視点が身近な関心ごとになっているためです。
(今までミッション・ビジョン・バリュー定義されていなかったのか?という指摘は至極ごもっともです。)
そんな中、Amazonのレビューで評価が高く、しかも単なる自己啓発ではなく科学的な根拠をもとに書かれている本書を読んでみることにしました。
以前紹介した『人は、なぜ約束の時間に遅れるのか~素朴な疑問から考える「行動の原因」』と行動分析学をベースにしている点ではかぶる内容ですが、こちらの本の方が行動分析学的なアプローチによる人や組織の改善事例を多数紹介しているのでより実践的だと思います。

本書を読んで特に印象的だったのは、レッテルを貼るのではなく、具体的な行動に注目すべしということでしょう。
よく、「あの人はだらしのない性格だから遅刻する」とか、「せっかちな性格だからミスが多い」というように、行動の原因を性格に求めている光景を良くを目にします。
しかし、性格というのはその人の行動に対して付けられるレッテルのようなものなので、性格が原因で行動が起こるわけではありません。
性格を行動の原因にすると、本質的な解決には一向に繋がらず、さらに人格攻撃に向かう危険性もはらんでいます。

そこで、行動分析学では、「行動は、行動直後の状況の変化によって変わるという根本原理(行動随意性)」に基づいて、具体的な行動に注目してポジティブな変化を促します。

また、組織の文化にも行動分析学は応用できます。
組織文化というと漠然としていて掴みどころがないように感じますが、組織は人の集合であって、組織文化は個々人の行動に対して付けられたレッテルと言えます。
人や組織の行動を行動分析学の観点で説明することによって解決方法が見つかるはず、そういう期待を感じられる1冊でした。