『日本人の原点がわかる「国体」の授業』を読んだ感想
- 2020.06.27
- 書評
近頃、戦争関連の資料を読む機会が多いです。
『失敗の本質』を読んでからというもの、日本に限らず他国がどういうプロセスで意思決定をして戦争という手段を行使したのかを調べています。
さて、今回は長いこと積読していた本書を改めて読んだので、簡単に紹介します。
本書では、「国体」の話、古事記や日本書記から読み解く日本建国の精神、天皇と国民の君民共治(天皇と国民が一体となって国がまとまる)、「和」の精神と未来への展望が書かれています。
「国体」という言葉は、右翼や軍国主義といった過激な言葉とともに用いられるケースが多々見受けられますが、本来の「国体」の意味はズバリその国を一言で表したもののことです。
例えば、アメリカ合衆国であれば「自由」、フランスであれば「平等」、中国であれば「中国共産党の一党独裁」が国体にあたります。
なお、各国の「国体」については、各国が定める憲法の冒頭で書かれています。
では、日本の「国体」は何かというと、日本国憲法の第一条に記載されています。
天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
本書では、これより、日本の「国体」は天皇の存在と「和」の精神であると述べています。
ちなみに「和」とは日本建国の精神であり、本書では以下と定義していました。
自分の権利は主張せず、私のことは後回し、責任を問われることには率先してそれを担っていこうとする。これが「和」です。
「和」の精神の例として、太平洋戦争終結後に昭和天皇がマッカーサーに「この戦争のすべての責任は自分にある。自分の命はどうなっても構わない。(略)」と述べたり、東京裁判においてA級戦犯と称された方々が口をそろえて「天皇陛下に責任はない」と述べたことを挙げていました。
本書の最後の章ではかなり筆者の思いが込められた内容になっていましたが(日本人、アメリカ人、中国人の国民性をそれぞれ一緒くたに論じていて、やや暴論の感があった)、「国体」とは何か、日本人として忘れてはいけないものは何かを考えさせられる良い本だったと思います。
古事記や日本書紀も読んでみるかなと思った今日この頃。
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