『ビジネスデザインのための行動経済学ノート』を読んだ感想
- 2022.01.06
- 書評
久しぶりに書店に立ち寄った際に面白そうな本があったので試しに読んでみました。
最近、上司や経営層がどういった思考回路で考えて物事を判断しているのかに興味があり、意思決定に関する本を読んでいます。
それらの本の中では『行動経済学』というワードが頻繁に登場していて、合理的ではない人の行動に焦点を当てた学問である『行動経済学』を理解しているか否かが意思決定の質と密接に関わっていることが分かります。
本書のテーマは意思決定ではありませんが、『行動経済学』をビジネスに活用するという目的であればぴったりの本だと思います。
本書の特徴は、行動経済学でのアカデミックなバックグラウンドを持っていない、長年デザインの実務にかかわってきた経歴の方が書いているところだと思います。
『ファスト&スロー』しかり学者が書いた行動経済学の本はいくつかありますが、独学で行動経済学を学び、自身の経験をもとにデザインとの関連や応用についてまとめられている本はそう多くはないはずです。
ユーザーが環境的要因や心理的要因でどう認知に影響(バイアス)を受けるのか、また、ユーザーの行動を後押しするナッジについてデザインにどうすれば実装できるのかなど、デザインに行動経済学を生かすというコンセプト通りの内容となっています。
「モノ」から「コト」への価値変革に伴って、企業が提供するサービスでも利便性や効率性以外の価値を創出していくことが競争力のカギとなってきています。
そのためにはユーザーを観察し、ユーザーが何を求めているのかを考察する必要があり、その手掛かりとして行動経済学の知見を適用できると本書では述べられていました。
開発ばかりしているとユーザーの目線を忘れがちになるので、たまにこういう本を読んで思考の偏りを正すのも良いなと思いました。
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