『岩波データサイエンス Vol.3』を読んだ感想

『岩波データサイエンス Vol.3』を読んだ感想

会社の後輩が社内ブログで因果推論の記事を書くということで、各所でお勧めされている『岩波データサイエンス Vol.3』を読んでみました。

ちなみに、事前に『効果検証入門〜正しい比較のための因果推論/計量経済学の基礎』を読んでいたため、傾向スコアによるマッチングや、IPW(Inverse Propensity Weighting)の理論をある程度理解した状態で本特集を読んでいます。

本特集では特に、『相関と因果と丸と矢印のはなし』で述べられているバックドア基準(※)の解説が明快でした。
この章ではバックドア基準のフォーマルな定義を、ある丘における人工池の水位に置き換えて丁寧に説明しています。
加えて、いくつかの因果構造のパターンを例示して、バックドア基準を満たす最小の説明変数の組み合わせを求めるといった練習問題も豊富です。
本章を読了できればバックドア基準の基礎を理解できた状態になるはずです。
(※)バックドア基準とは、介入効果を推定するためにモデルに追加する共変量が満たすべき基準のこと

また、岩波データサイエンスがサポートページを開設しており、特集で記載されていた項目の補論とか、より詳しい解説や、実装コードまで紹介されています。
この一冊でかなり深く広く因果推論の勉強をできると思いました。