『企画力: 人間と組織を動かす力』を読んだ感想

『企画力: 人間と組織を動かす力』を読んだ感想

つい先日、職種を超えて提案書を作成するノウハウを身に付けてもらうことを目的に、社内で提案書作成講座が開かれました。
その講座に参加する準備として、まずは企画する力について勉強しておこうと思って本書を読みました。

実は以前、本書の著者である田坂広志氏の『知性を磨く』も読んだことがあります。
読み始めたらすぐに引き込まれて、一気に読み切ってしまったことを覚えています。

さて、本書を読んで印象に残ったことを少し紹介します。

人間と組織を動かす力 それが、企画力

本書では企画力を人間と組織を動かす力だと定義しています。
これは筆者が米国シンクタンクで勤務していたときの経験をもとにしています。
どんなに時間をかけて練りに練った企画書であっても、採用されないとそれはただの「紙くず」で、企画力がないと評価されてしまいます。
自分の労力を注ぎ込んだ企画書を「紙くず」にしないためには以下が必要だと述べています。

企画を立案し、提案することを通じ、人間と組織を動かし、それによって、企画を実行し、実現する力

上記を端的に言えば、企画力とは「企画を立案する力」ではなく「企画を実現する力」であるということです。

読みやすい企画書は「自問自答」のスタイル

企画書の冒頭の掴みに成功したあとも読み手には「ビジョン」「目標」「戦略」「戦術」など以降のページにも興味をもって読み進めてもらう必要があります。
そこで必要になるのが「自問自答」のスタイルです。

各ページの冒頭で問いを投げかけ、本文でその「答え」を語る。その「答え」を受けて、次のページの冒頭で「新たな問い」を投げかけ、また本文で「答え」を語るそれを繰り返しながら次々と進んでいくスタイルであるため、読み手にとっては、そこに自然な「流れ」が生まれ、非常に読みやすい企画書となる

本書の構成としても、実はこの「自問自答」のスタイルを踏襲しており、読み手にとっては非常に読みやすく、引き込まれる書き方となっています。

顧客企業の担当者は「同士」である

企画提案では顧客企業の担当者を説得することがゴールとなっていることがしばしばありますが、これは間違いです。
本書では、顧客企業の担当者は、我々と一緒になって顧客企業の「組織」を説得し、そのプロジェクトを実現する「同志」だと述べています。
我々の企画提案が顧客企業の担当者の説得がゴールとしていて、それ以降の「組織」の説得を担当者に全て委ねてしまうのは、同志を見殺しにするも等しい行為なのだと。
企画を実現するためには担当者を同志として捉えることが必要です。
担当者の説得ができれば、次はその企画書を社内で説得力のあるものに変えていく、進化させていくという観点で、「担当者」と知恵を出し合うことが重要とのことです。

最後に

やはり、田坂氏の本は読みやすく、引き込まれる書き方だなぁと感じました。
現在、著者のマネジメント系の本も読んでいるので、また感想を書こうと思います。