コーチ・エィ著の『コーチングの基本』を読んだ感想
- 2020.07.18
- 書評
もろもろの事情があり、母校の部活に所属する後輩たちを指導する機会があるのですが、どうすればモチベーション高く部活に取り組んでくれるのか、その指導方法に悩んでいます。
そんな中、会社の先輩から「コーチング」を調べてみると良いよとアドバイスをもらいました。
「コーチング」とやらを知ることで、自分が後輩指導で悩んでいることを解決する良いヒントがあるやもしれぬ。。
そういうわけで「コーチング」関連の本を探していたところ、Amazonで高評価だったのでとりあえず読んでみることにしました。
簡単に本書で述べられている「コーチング」に関する事項をまとめます。
コーチングとは
本書ではコーチングを以下と定義しています。
コーチングとは「1対1の対話によって、クライアント(コーチを受ける人)が目標達成に必要なスキルや知識、考え方、行動することをサポートする」プロセス
定義で述べられているようにコーチングはあくまでクライアントをサポートするだけで、最終的に行動を選択し決めるのはクライアントです。
クライアント自らが行動を選択することでコミットメントが高まるため、指示/命令されるよりもモチベーション高く行動できます。
コーチの持つべき視点
コーチングにあたって、コーチは「PBPの視点」をもってクライアントの状態を把握します。
PBPはそれぞれPossession(身に付けるもの)、Behavior(行動)、Presence(考え方、信念)の頭文字を取っています。
- Possession
どのようなスキル、知識、人脈をもっているのか? - Behavior
どのような行動をしているのか? - Presence
どのような新年、価値観、ものの捉え方をしているのか?
この3つPBPの視点を行き来することでクライアントのどこに成長ポイントがあるのかを発見します。
コーチングの3原則
本書ではコーチングの3原則として、双方向、継続性、個別対応を掲げています。
これらの3原則は、コーチングにおけるコミュニケーションのテクニック(傾聴、ペーシング、質問など)以上に優先しなければなりません。
双方向
双方向性はクライアントの無意識を顕在化させるために必要です。
本書では、生物学用語であるオートクラインをコーチングの文脈に照らし合わせて、会話を交わすことで言語化し、アウトプットすることで自分のアイデアを認識することとしています。
オートクラインを起こすことでクライアントの無意識は顕在化します。
このためには、クライアントとの信頼関係が成り立ったうえで「質問して答える、質問して答える・・・」というやりとりを繰り返す状態(双方向)になる必要があるとのことです。
継続性
目標達成に必要なスキルや知識、考え方、行動することをサポートするのがコーチングですが、これはたった1度オートクラインを起こすだけで達成できるわけではありません。
クライアントと定期的にコーチングのセッションを実施し、クライアントの目標との「ズレの修正」や「意欲の向上」を支援するのがコーチの役目です。
目標との「ズレの修正」のためにはコーチは適切に事実をクライアントにフィードバックしたり、アクノレッジメントや褒めることによってクライアントの「意欲の向上」を測ります。
こうすることでクライアントは必ず目標達成できる、必ず成長すると信じて関わり続けるというスタンスが必要です。
個別対応
別のクライアントで成功したからといって、同一のコーチング方法を他のクライアントに適用しても逆効果となる可能性があります。
コーチングはクライアントの特性を理解した上で実施しなければなりません。
クライアントのタイプ分けなどのツールを活用しても良いですが、あくまでこのクライアントにはこういったタイプ特性もあるという理解に留め、クライアントと向き合って表層に出てくる言葉ではなく、クライアントの本心を探り続ける必要があります。
コーチング・プロセス
クライアントとのコーチングセッションは大まかに以下の6つのステップで進行していきます。
- セットアップ
コーチとクライアントとの信頼関係の構築からコーチングの進め方に関する合意を形成する。 - 目標の明確化
クライアントがコーチングの期間を通して達成したい目標を具体化する。序盤の最も重要なステップ。 - 現状の明確化
目標に対してクライアントの現状について分析を行う。現状を把握することで目標とのギャップに気づくことができる。 - ギャップの原因分析
目標が達成できていない背景や理由についての分析する。 - 行動計画の作成
ギャップ原因を解消し、目標にむけて前進するためのアクションプランを練る。 - フォローアップ
行動計画を実行に移し、実行結果をもとに修正と改善を支援しながら目標達成するまでをサポートする。
ただ、これはコーチングだけではなく、会議のファシリテーションなどでも使われているフレームワークです。
コーチングにおいても、こういったフレームワークをもとにステップを進めていくという意識が大切だと思いました。
最後に
本書ではコーチングに関する知識を体系的に説明した後に、コーチングの知識を実際にどうやって実践で活用していくのかをストーリー形式で説明しています。
このコーチングの実践例でのクライアントとコーチのやりとりはリアリティーがあり、さらにコーチがどういった思惑でクライアントに質問を投げかけているのかも説明されているので、コーチングを実務で実践するイメージを持つことができます。
コーチングスキルは一朝一夕に身に付くわけではありませんが、今後自分のポジションが上がっていくうえで必要なスキルのはずです。
また頃合いを見て本書を読み直し、コーチングを実務に役立てられるようになっていけたらなと思いました。
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