『外資系コンサル流・「残業だらけ職場」の劇的改善術 「個人の働き方」も「組織の体質」も変わる7つのポイント』を読んだ感想
- 2020.02.16
- 書評
KindleのUnlimitedの対象になっていたので読んでみました。
多くの企業がこぞって「働き方改革」を推進する昨今、確かに会社の制度として労働時間が厳しく規制されてきていると感じます。
しかし、仕事量は労働時間を規制する以前とは変わらないため、結局、会社に申請せずにコソコソ職場に居残って仕事したり、家に持ち帰って仕事したりと闇残業を助長しているように感じます。
そういった、職場に蔓延る長時間労働体質を変えるべく、本書では短い労働時間でも生産性を向上する方法を説明しています。
基本編として個人で実践できることから、発展編として組織を巻き込んでいく方法まで説明しているため、世代を問わず幅広くビジネスパーソンにとって一読の価値がある本だと思いました。
また、生産性ある仕事の進め方を身につけてもらうことは新人にとっても有益なので、新人にもお勧めできます。
以下、自戒の念を込めていくつか本書から引用します。
タスクを分割して、細切れ時間をフル活用する
長時間マインドの人というのは、1つのタスクはあくまでも同じ時間でやらなくてはいけない塊という発想になりがちです。1つのタスクと思っているものでも、実はさらに細かいタスクに分割できることがほとんどです。
残業が蔓延する職場の特徴として、連続した時間を確保しないとタスクに取り組めないと考える人が多くいるということが挙げられます。
そういう人たちは、打ち合わせの間に細切れの時間(例えば15~30分程度)があってもタスクに取り組むには中途半端だということで、ぼうっとしたりネットサーフィンしたりして無為に潰してしまいます。
しかし、だいたいのタスクは作業工程をさらに細かいタスクに分割できるはずであり、細切れの時間でも僅かながらタスクを進めることができます。
確かに、打ち合わせの間の時間にだらだらメールのチェックとかネットサーフィンをしてしまう人がいるような気がします。自分を含めて…。
メンバーのコストを計算した上で本当に必要な人員を会議に召集する
例えば会議を設定するとき、会議がある人を呼ぶかどうかを判断するとき、部下を商談に連れて行くかどうか迷ったときなどに必ず「この人の時給はいくら」「集まった全員の時給を合わせるといくら」とコスト計算をする癖をつけるだけでも意識は変わってきます。
これは結構当てはまるなぁと思いました。
確かに、週次の定例会議が形骸化していたり、とりあえずこの人も関係ありそうだから呼んでおこうといった、コスト(人件費)を全く考慮していない会議召集は多々あります。
会議への参加がしっかり工数管理されていて、会議参加した工数分、他の業務の工数が調整されているというケースは今までみたことがありません。
そのため、会議に参加すればするほど、他業務に割ける工数が減るので結果的に残業が増えてしまいます。
何気ない会議召集時に、召集するメンバのコストがどれくらいなのかを「意識」するだけでも相当な無駄を省けるなと感じました。
IPOを確認してから仕事に取り掛かろう
IPOとは新規公開株のことではなく、インプットとプロセス、アウトプットのこと。仕事を受けるとき、なんとなく受ける、言われたままに仕事にかかるのではなく、この3点を必ず確認するようにしましょう。
…(略)…
抱え切れない仕事を振ってくる上司というのは、往々にして誰がどのくらいの仕事を抱えていてどれくらい時間をかけているのかがわかっていないだけだったりします。自分が抱えている仕事のIPOと松竹梅プランを提示することで、上司も正しい判断ができるようになるのです。
言われた仕事をそのまま引き受けて、何を求められているのか仕事の発注側と認識がズレたまま作業を進めてしまい、結果的に大きな手戻りが起きて上司に怒られるという経験は、新人誰しもが通る道でしょう。
上記のような仕事の発注側との認識ズレを防ぐために、IPO(インプット、プロセス、アウトプット)の確認は最低限必要なことだと思います。
ここで、このIPOに加えてさらに松竹梅プランも提示するべきだというのが、なるほどなと感じました。
松竹梅プランとはすなわち、コスト・工数(インプット・プロセス)と成果物の質(アウトプット)を天秤にかけて選択肢を提示するということです。
今まで求められている成果物の質をなんとなく理解した上で仕事をこなしていましたが、過剰品質だったケースも多々あったと思います(逆もしかりですが)。
松竹梅プランも提示することで適性な品質でアウトプットできるので、工数の削減に繋がります。
SLAを決めることで顧客のわがままを防ぐ
いわゆるブラックな職場、ブラックな協会に共通している事は、サービスレベルがそもそも決まっていないと言うこと。これでは、「何でもやります」と言っているようなものですから顧客の言うままにやることが増え、残業が増え、徹夜が続き、ということになります。
SLAとは筆者曰く、「サービスを提供する側とその利用者の間に結ばれるサービスのレベル(定義、範囲、内容、達成目標等)に関する合意」です。
事業会社におけるデータサイエンス組織を例にSLAを決定していない場合を考えると、以下のケースがありそうです。
- 他部署から依頼された分析案件で定期的にモニタリングしていくべき指標が見つかった。この指標をモニタリングするレポート作りや運用もやるの?
- 機械学習のプロダクトのコアとなるロジックを作ったが、本番環境への実装や運用まで設計するのか?
などなど。
確かにSLAが漠然としていることで、本来部署として取り組むべきタスクへの工数が減ってしまい、残業で賄うしかなくなるケースがあります。
最後に
本書は実践的ですぐに業務に活かせます。
まずは自分がコントロールできるところから取り組んでいこうと思いました。
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