『西洋美術史入門 (ちくまプリマー新書)』を読んだ感想
- 2017.11.01
- 書評
近々、美術館に行くかもしれません。
ということで、こんな本を読んでみました。
ちくまプリマー新書ですし、簡単に西洋美術史の概要を学ぶにはちょうどいいかと思いまして。
さて、本書で印象に残ったのは以下の2点でした。
絵画などの美術作品はごく近代まではメディアとして機能した
現代とは違い、中世のヨーロッパでは識字率が著しく低かったため、小食者、貴族、商人等の一部を除いて、一般庶民は言葉は話せても文字は読めませんでした。
従って、聖書の内容や社会的な教訓といった情報の伝達は、言葉、つまり口頭でしかあり得ませんでした。
しかし、口頭での情報の伝達では、一度に伝えられる対象に限界があります。
そういった状況の中、絵画などの美術作品は、もっと広く人々に情報を伝達するメディアとして機能したのだそうです。
パトロンの影響
西洋の絵画を考察するにあたっては、「絵画を購入する側(パトロン)」と「絵画を制作する側」という両者の存在を考慮する必要があります。
今でいう完全受注生産みたいな感じです。
自由な創作活動はごく近代になってからのことで、それ以前は常に、パトロンの意図を汲み取っている作品が主なのです。
また、パトロンは時代とともに変遷しています。
ある時代は皇帝、ある時代は聖職者、ある時代は富裕市民など。
美術作品を以下の2点でみられたらいいなぁと思います。
- 「ある美術作品の成立過程とその背景をみる」
- 「ある美術作品を選択した社会的・精神的背景をみる」
口で言うのは簡単ですけど笑
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