『多様性の科学』を読んだ感想
- 2021.10.12
- 書評
Kindle版で期間限定セールの対象になっていたので読んでみました。
大雑把に本書をまとめると、組織を構成するメンバーに多様性を持たせることで、組織全体での盲点が少なくなり、問題解決の可能性が高まるということです。
一見よくある言説のように感じますが、言うは易し行うは難しで、本書ではこれを実現できなかった組織/実現できた組織のケースを挙げ、多様性がいかに重要であるかを論じていきます。
<本書で紹介されているケース>
- 事前に兆候を検知できたはずなのに9.11を防げなかったCIA
- 第二次世界大戦でナチス・ドイツが用いたエニグマ暗号の解読部隊の人材確保戦術
- エベレストでのガイド登山における集団遭難
- ボストンのルート128の衰退とシリコンバレーの繁栄
など
特にエベレストでの集団遭難に関しては、自身の経験と重なる部分がありました。
いかに多様性に富んだメンバー構成であっても、尊敬型ヒエラルキーではなく支配型ヒエラルキーとなっている場合、メンバーは成功よりも組織内融和を優先させるために効果的なコミュニケーションが生まれにくいというのはその通りだと思いました。
自分はいわゆる日本的な企業に勤めていますが、採用基準は多様性に富んでいるとはいいがたく、また企業の意思決定に多様性を取り入れるような仕組みはほぼ形骸化している感じがします。
企業の採用活動だったり、身近なところではワーキンググループのメンバー選びなどの際には頭の片隅に残しておきたい考え方だと感じました。
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