『最高の結果を出すKPIマネジメント』を読んだ感想
- 2019.11.07
- 書評
以前から気になっていた本ですが、ようやく機会があって読みました。
プロダクトの施策に関わるデータアナリスト/サイエンティストとして、もっと早くに読んでおくべき本だったと思いました。
以下、本書を読んで思ったことです。
ダメダメなKPIを設定しているケースは本当によく見かける
本書では、「ダメダメなKPI」を設定しているケースとして以下の3点が挙げられていました。
①たくさんの数値目標を設定している
②現場でコントロールできない指標をKPIとして設定している
③先行指標ではなく、遅行指標を選択している
③には遭遇したことがありませんが、①や②のケースはクライアント先でよく見かけますし、また、そういったKPIを設計しているプロダクトやプロジェクトでデータ分析をした経験もあります。
確かに、「①たくさんの数値目標を設定している」と、追いかけるべき数値が多いために、現場で目標の優先順位付けをされて、取捨選択が起きてしまいます。
現場判断で目標の取捨選択が起きないように、あくまでKPIはKGI達成のためにKeyとなる指標に絞るべきだと本書では述べられていました。
また、「②現場でコントロールできない指標をKPIとして設定している」では、信じられないことに目標にしている指標がどう計算されているか、そのロジックがパンドラになっているケースに遭遇したことがあります。
たとえ指標が目標に対して低迷していてもどうすればその指標を向上できるのかが不明のため、具体的な打ち手を出せませんでした。まさに闇。。
本書で述べられているように、KPIは論理的に正しく、安定して測定可能で、単純に理解される必要があります。
「KPIを設計する前に決めておくべきこと」を決めている組織をみたことがない
本書では、「KPIを設計する前に決めておくべきこと」として以下が挙げられていました。
①いつ(時期)
②KPIがどれくらい悪くなったら(程度)
③どうするのか(施策)
④最終判断者(決裁者)
「①いつ(時期)」や「②KPIがどれくらい悪くなったら(程度)」は事前に決められる一方で、「③どうするのか(施策)」や「④最終判断者(決裁者)」は有耶無耶になっているケースが多い印象です。
自分が経験した中では、あるプロダクトのリリース後、週次でKPIをモニタリングし、なんとなく悪くなってきたら打ち手を考えるというのがよくありました。
KPIが悪くなったときの施策やその決裁者も事前に決めておくことで、無駄なコミュニケーションも減って迅速な対応ができるとのこと。
まさしくその通りだと思いました。
まとめ
KPIがKGIを達成するために中間的に達成しなければならない指標であるとか、要因の因数分解で決めるとか、そういう小手先の知識はなんとなくあったのですが、具体的にどうやってKPIを決めて運用していくのかの知識はありませんでした。
経験してきた業務ではKPIの設計段階にまで関わることはありませんでしたが、今後のキャリアを考えたときに将来の糧となる本だと思いました。
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