RPAツールWinactorの導入における建前と本音

  • 2018.10.28
  • RPA
RPAツールWinactorの導入における建前と本音

お久しぶりのブログ更新です。

今回はRPAツールの一つであるWinactorの導入にまつわる建前と本音を語ります。

ちなみに筆者は、Winactor導入プロジェクトの立ち上げに関わった経験があります。

定型化された業務(マニュアル化できるような業務)にかけられていた工数のほとんどをロボットに代替させることで、浮いた工数をより事業の利益に直結するタスクに振り分けられました。
(働き方改革で目指しているより創造的な業務へのシフト)

こういった経験をもとに本稿を記しますので、Winactorを導入しようかと考えている方や実際に運用して壁にぶち当たっている方の参考になるかと思います。

Winactorの建前

Winactorの導入に際してよく言われるのは次の事項でしょう。

①ITリテラシの低い現場でも自らロボット実装が可能
②定型化されたDesktop作業はほぼ自動化可能

ITリテラシの低い現場でも自らロボット実装が可能

ITスキルを必要としていないよ現場でよく使われている自動化ツールの代表はExcelマクロでしょう。

ExcelマクロはVBAというプログラミング言語で実装する必要があり、ITスキルの低い現場の人が自ら実装するにはなかなか障壁が高いのがネックです。

一方、Winactorはフローチャートベースでシナリオ(ロボットの一連の作業)を作成できるため、実装における技術的な障壁が低いのです。

vbaとwinactorの比較

さらに、実装における容易さから、現場内でのロボットの実装・検証・改善が可能なので、現場主導でロボットを有効に活用するサイクルを完結できます。

定型化されたDesktop作業はほぼ自動化可能

人がDesktopで行っている定型化された作業(詳細にマニュアル化が可能な作業)を全てロボットによって自動化できるというものです。

既存の自動化ツールであるExcelマクロでは、Microsoft Office製品の自動化は可能ですが、それ以外の作業(例えば、webページの検索やデータ取得、既存システム(勤怠管理システムや経費精算システムなど)への入力など)の自動化は不可能です。

一方、WinactorはExcelマクロの記録機能を拡張したものであり、Microsoft Office製品はもちろんのこと、Desktop操作で利用できるあらゆるシステムも自動化の対象になります。

Winactorの本音

ここでは上記で述べたWinactorの建前に対する本音を述べます。

①ITリテラシの低い現場でも自らロボット実装が可能
→最低限何かプログラミング言語を使って実装した経験がないと活用できるロボットを作ることは不可能
②定型化されたDesktop作業はほぼ自動化可能
→自動化は可能だが、ロボットでの置き換えには別のロジックが必要になる場合がほとんどである。

最低限何かプログラミング言語を使って実装した経験がないと活用できるロボットを作ることは不可能

まずWinactorは既存の自動化ツールであるExcelマクロに比べて処理時間が大幅に増大するということに注意が必要です。

筆者はWinactorの開発者ではないため内部の処理ロジックについてはよく知りませんが、おそらくWinactorはGUIベースでのシナリオ実行になっているために圧倒的に処理時間が遅くなっている気がしています。

人の作業を忠実に一つ一つ全てロボットで置き換えるのであれば、ほとんど人が操作する場合と実行時間が変わらないのではないかと思います。

プログラミング経験がない現場担当者がそのままフローチャートベースでロボットを実装すると、忠実にDesktopの作業をロボットに置き換えることになります。

そうすると、時間的な削減はほとんど削減できないどころか、遅くなる可能性もあります。

自動化は可能だが、ロボットでの置き換えには別のロジックが必要になる場合がほとんどである。

Winactorを使えば定型業務の自動化が可能ですが、特にweb画面の操作のロボット置き換えには細心の注意が必要になります。

Winactorはweb画面(または勤怠管理や経費精算システムなど)におけるクリックを自動化すると、かなり不安定な挙動になります。

Winactorは基本的な機能として絶対座標を指定してクリックができるモジュールを備えていますが、これが不安定なことこの上ありません。

画面の拡大率や対象ボタンの位置変更(特にGoogleのサービスを使用する場合は不運にもA/Bテスト対象になってしまった場合にロボットがエラーになるってしまう)に対応できないのです。